築山節『いくつになっても脳は磨ける』

築山節『いくつになっても脳は磨ける』

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『いくつになっても脳は磨ける』

医学博士、築山節(つきやま・たかし)による脳のアンチエイジングを解説した本。

最近、物忘れが多い、新しい事が覚えられない、人の名前が出てこない、など、ちょっと不安になる事への対策を分りやすく書いている。

脳の衰えというのは必ずしも加齢によるものだけではありません。(中略)人間の脳は加齢で衰えるどころか、いくつになってもゆっくりと成熟する可能性を秘めています。(4)

と、「まえがき」から勇気を与える言葉。

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雑用は脳トレ!

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著者は脳を働かせるために雑用を勧める。雑用とは、日常の食器洗いやゴミの分別等々。

手、足、口、といった体の動く部分は何気なく動いているように見えても、本来、脳からの命令が来なければ動くことができません。ですから、自分の手と足を使って、あれこれ工夫しながら行う。雑用は、脳を広範囲に使う絶好のチャンスなのです。面倒くさがらずにコツコツとこなしているうちに、いつの間にか脳、特に前頭葉が鍛えられている‐雑用には、そんな素晴らしい効果を生む簡単な方法があったのですね。 (17)

確かに何かやらなければならないことがあるのにもかかわらず、行き詰まり、一歩も先に進めないときには、並行するように流し台に洗い物がたまっていたり、部屋が整理整頓できていなかったりする。そういったことを片付けてしまうと、意外と行き詰まっていたことが進んだりするという経験がある。

数独や百マス計算など「脳トレ」と呼ばれるゲームはいろいろあるものの、著者は「雑用は、手軽で周りの人にも喜ばれる効果的な“脳トレ”法だと覚えておいてください」と言う。

人間の脳は、 「手、足、口」を多彩に動かさなければ使われません。(27)

時間の制約!

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“集中力”や“頭の回転”は、高めようと思って高められるものではないんですよ。脳は自分にそういう命令を出せるようにはできていません。脳ができるのは、時間と仕事量の関係をはっきり認識することなのです。時間の制約を最初から意識しているのといないのとでは集中力が全く違います。(42)

つまり自分の意志で「集中しよう」、と脳をコントロールさせようとするよりも、時間の制約のような外在的理由を置くと、より集中しやすくなる。

会社にいるときは、退社時間や外出予定、顧客との約束など時間的制約を作りやすいが、自宅にいる場合は集中力を持続させることがなかなか難しい。そのような場合、例えばタイマーを使って時間を決めてしまうという方法がある。

スマートフォンにはタイマー機能が付いているけれども、スリープを解除し、アプリを開き、時間をセットし……というように、タイマーをセットするまでいくつかステップを踏まなければならない。このような場合、机の上にキッチンタイマーを置いておくのがオススメ。特に簡単に時間設定ができるようになっているのが便利。

著者は、人の脳が集中して働き続けられるのは2時間まで。一日に人が働ける時間は「生理的には10時間まで。それ以上働くと、作業効率が落ちたり、ミスしやすくなると言われています」(44)と述べる。

脳は怠け者

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築山によれば「脳は基本的に怠け者で、楽をしたがるようにできている」。

何も強制されていない環境にあると、脳はより原始的な機能である勘定系の要求に従って動くようになってしまいます。その結果、生活のリズムを失い、俺面倒なことを避けるようになり、感情系の「楽」ばかりを求める生活になってしまう。 (66)

脳を感情的でなく理性的に管理する方法として数字で管理する方法を紹介している。例えばウォーキング時の時計や万歩計など、「道具の力を借りて、自分以外の誰かに動かされている環境もつこと」が脳のアンチエイジングには大切」と述べる。

確かに目標を、「自分の限界まで」などとするよりも、ウォーキング30分やスクワット20回のように数字で管理する方が続きやすい。そのような数字で目標立て、紙に書いて見えるところに貼っておけば、築山が言うような「理性的に」脳をコントロールする方法の1つになる。

記憶とアウトプット

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築山は脳に情報を記憶させる過程を次のように述べる。

1.意識的に情報を脳に入力する。
2.入力した情報を解釈する。
3.脳の中にある情報を出力する

「聞いた話をすぐ忘れてしまう、人の話がスムーズに頭に入らない、言葉が出てこないことが度々ある、自分の考えを人に話すのが苦手という人は、この過程のどこかに原因があるはず」

そして「脳は、インプットするだけでなく能動的にアウトプットしないと育ちません。情報を解釈して、口に出して言う」 (75)と記憶にはアウトプットが重要であると主張する。

他人に教えるつもりで何か勉強したり読書したりすると記憶に残りやすいと聞いたことがある。アウトプットを意識することで、記憶に残りやすくなる。

認識の省略

人間は誰でも物忘れをする。人間が1度に覚えられるのは、最大7項目、最小3項目と言われ、記憶力には限界がある。

人間の脳は膨大な情報処理するために出来る限り労力を省こうとする、認識の省略が起きる。

築山の発言で勇気を与えられたのは以下の言葉。

人間は誰でも物忘れもします。分からなかったらもう一度聴き直す。忘れたらもう一度覚え直せばいい。それは恥ずかしいことではありません。 (78)

タダでできる脳トレ

『いくつになっても脳は磨ける』では、脳の特性から、記憶力や集中力、意欲の衰えを感じている世代に「正しい脳磨き」の方法を解説している。たとえば「目をよく動かす、会話のキャッチボール、よく歩く」などなど、タダでできることばかり。つまり日常生活の中に、脳をコントロールする方法があるということ。

脳の体力、具体的には前頭葉の体力が落ちてきた人は、どのような行動を取るかというと、主体的に行動することをサボりはじめ、人から命令されなければ動かなくなったり、ダラダラと時間を過ごすようになってしまいます。けれども毎日ルーチンな行動として雑用を続けてきた人は、面倒くさいことやつらいことに対する耐性が自然に養われていて、前頭葉がタフに鍛えられている。困難な問題にぶつかったときにも意思的・主体的に行動する体力の高い人になっているのです。 (17-18)

最近、記憶力と気力が落ちてきたことを気にしがちだったのだけれど、この本を読んで、日常生活、つまり家事やおしゃべりや散歩など、一見、何の役にも立ちそうにないことにも、脳トレの一つだと思って積極的に行ってみることにした。

脳の“成熟”を目指して。

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